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    「みにくいあひるの子」だった私69

    時間: 2019-09-23    進入日語論壇
    核心提示:「もっといい服を著てちょうだい」努力をしていれば、いつか報(むく)われるよくそんなふうに言われるけど、いくら頑張(がんば
    (單詞翻譯:雙擊或拖選)
    「もっといい服を著てちょうだい」

    努力をしていれば、いつか報(むく)われる……よくそんなふうに言われるけど、いくら頑張(がんば)っても、どんなに努力をしても、どうしようもないことだってある。
    世の中は自分たちのためだけにあるものではないから、身のほどを知らなければ、押しつぶされてしまう。
    お金の問題が、まさにそれだった。
    彼も必死だった。それは私にもよくわかった。でも、一度狂(くる)った歯車は、いったん止めて、もとに戻(もど)してからでないとだめ。そのまま突っ走っても、溝(みぞ)はどんどん深まるばかり。借金を返すために借金をしているような狀態では、とても先行きは見通せない。それは、いまだからわかることだけど。
    そういうものを抜きにして、私たちの愛ってなんなのだろうか、と考えると、意外なことに、なにも浮かんでこない。彼の金策(きんさく)に協力するのも一つの愛の形かもしれない。でも、そういうことを抜きにしたら、なにも殘らないのでは……。
    私は彼といるときには、服でも持ち物でも、いいものを身につけることができなかった。というより、すごく汚(きたな)い格好(かつこう)をしていた。私もファッションを売り物にしている以上、人前ではあまりみすぼらしい格好もできない。だから、シャネルやエルメスなどを買うことは買うけれど、それを彼の目の屆(とど)くところには置けなかった。
    「そんなお金があるくらいなら……」
    すぐにそういう話になってしまうから。
    私にとっては、それは営業服。自分への投資のようなもの。でも、「おれがこんなに苦労しているときに」という彼の気持ちも理解できる。
    彼との同棲中(どうせいちゆう)も、両親とはちょくちょく會っていて、一緒に食事をしていた。そんなとき、母からよく言われた。
    「あなた、モデルなんだから、もっといい服を著てちょうだい。お願いだから、買ってちょうだい。苦しいなら、お金をあげるから」
    買えないんじゃない。買ってはいるんだけど、それを著たくても著られない現実があった……。
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